合同焼香所で、セウォル号沈没事故の犠牲者遺族に詰め寄られる韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領(右端)。北朝鮮は事故対応で朴政権を糾弾する世論が韓国で強まると、その尻馬に乗って非難のトーンを上げ始めた=2014年4月29日、韓国・首都ソウル郊外の安山(聯合=共同)【拡大】
4月23日には、朝鮮赤十字会中央委員会名義で「深い慰めの意を表する」と弔意を表明していた。
だが、事故対応をめぐり、朴政権を追及する世論が韓国で盛り上がりだすと、北朝鮮もその尻馬に乗るように非難のトーンを上げ始めた。朝鮮労働党機関紙、労働新聞は4月29日、「(事故処理の)その過程であらわになった(韓国当局の)無能さとあきれた対応は各界の失望と怒りだけを呼び起こした」と論じた。
朴大統領は「殺人鬼」
朝鮮中央放送が今月(5月)1日に祖国平和統一委員会名で伝えた批判では「若い生徒ら無辜(むこ)の命が奪われても十分な謝罪もなく、責任を下に押し付ける朴槿恵に南朝鮮人民が『殺人鬼』と呪って『下野』を叫ぶのは当然だ」とまで述べた。
その中で「南朝鮮全土が旅客船沈没で阿鼻叫喚(あびきょうかん)となるのをものともせず、米国という主人を引き入れた」とした上で、朴大統領を「オバマの女性秘書」「(米大統領という)先生の前に立つ女学生」とこき下ろしている。このことからも4月25日にオバマ氏がソウルを訪れ、核実験など北朝鮮の挑発阻止での連携を確認した米韓首脳会談への牽制(けんせい)が目的なのは確かだろう。