兵庫県豊岡市の「コウノトリの郷公園」【拡大】
コウノトリを復活させよう-。壮大な取り組みが始まった。85年、ロシアから幼鳥6羽を導入。飼育場で大切に育てた。4年後、人工飼育繁殖に成功。待望のヒナが誕生した。
次の目標は野生復帰だ。広大な兵庫県立コウノトリの郷(さと)公園を拠点に飼育数を増やしていった。また、野生化に向けて訓練を行った。生息環境の整備も大切だ。市民や行政が湿地の再生や人工巣塔設置を進めていった。
「子供たちが田んぼに入り、熱心に取り組んだのです」
2005年秋、5羽を試験放鳥した。コウノトリは力強く、青い空に羽ばたいていった。中貝市長は「やったあ」と叫んだという。
現在、飼育されているのは約90羽。野外には約70羽。韓国まで飛んでいった「冒険家」もいるそうだ。
「コウノトリとの約束を守る。命への共感が私たちの原動力でした。コウノトリは長い歳月を経て、再び風景のなかに溶け込んでいった。物語は今も続いています」(塩塚保/SANKEI EXPRESS)
■逍遥 気ままにあちこち歩き回ること。