関東にも“パンの聖地”が。神奈川県伊勢原市の「ムール ア ラ ムール」は、「日本の小麦でうまいパンは作れない」という常識を覆そうとした“伝説のパン職人”、高橋幸夫さんの遺志を継ぐパン店だ。周辺農家で育った小麦を、自家工場で製粉し、使用。小麦の保管温度や、香りをより引き出すための挽き方までこだわる。「これまでのパンは『いかに本場のフランスに近づけるか』でしたが、これからは『日本の小麦で日本にしかないパンを作る』という方向性になるはず。そんな未来を予感させます」
昔懐かしい味わい
旅した中には、「なぜこんな場所に!?」というロケーションの店も。長野・志賀高原の「横手山頂ヒュッテ」は、なんと標高2307メートルに立つ。「荒野を抜けて店に入ると、焼きたてのパンが並んでいる…幻覚を見ているような気分になります」。宿泊施設だが、約50年前に嫁いできたという神戸出身の女将が、「山の上でもパンが食べたい」というパン欲に導かれ、パンを焼いている。「外界と隔絶された環境ゆえ、約50年前の神戸のパンのイメージがそのまま保存されている。ホッとするクラシカルな味わいです」(池田さん)