アジアカップを授与され高々と掲げる主将の宮間あや。後ろは左から川澄奈穂美、岩清水梓(あずさ)、澤穂稀(ほまれ)=2014年5月25日、ベトナム・ホーチミン(共同)【拡大】
左を走る川澄奈穂美(28)とのホットラインが太くなり、左右両足で蹴るセットプレーも冴えまくった。
圧巻は準決勝、中国戦の左コーナーキック。ニアに走り込む澤の頭に合わせた低く速い弾道は、W杯決勝の米国戦と同じ軌道で狭いゴールに吸い込まれた。
澤のマーカーをブロックしたのが、DFリーダーの岩清水梓(あずさ、27)だ。「東北魂」を看板とする岩清水は中国戦の延長終了間際に宮間の左CKから決勝ヘッドを決め、決勝の豪州戦も値千金の決勝ゴールを頭で決めた。
澤から「苦しいときは私の背中を見て」と主将のバトンを渡された宮間はこの大会中、常に代表初招集や経験の浅い選手の輪の中にいようとした。熱戦翌日に練習を免除されても若い選手のために水を運び、スタッフからこれを止められるとペットボトルの一本一本にメッセージを書き込んだ。
背中で引っ張るリーダーから輪の中心にいる主将へ。個性は変われどチームワークの良さがこのチームの強みであることは変わらない。加えて宮間には、アジア杯に強い思いがあった。澤にとっては、これが9度目のアジア杯。「澤さんが優勝していないなんておかしい。彼女がいるチームで優勝できてよかった」と宮間は話した。