前座のころは、この5軒の寄席を10日間が終わると次の寄席、また次の寄席という感じに回っていました。それに昼席か夜席かで10日間、毎日の生活のリズムも変わります。
つらくて辞める人も
分かりやすく私の弟子の前座、柳家圭花(けいか)の2カ月を見てみましょう。
4月上席は池袋の夜。4月中席は上野の夜。4月下席は上野の昼。5月上席は上野の夜。5月中席は新宿の夜。5月下席は浅草の夜。2カ月間、4月21~30日以外はすべて夜席でした。これもたまたまのこと。ずっと昼席が続くこともある。
昼席は午前11時から午後5時。夜席は午後4時から午後9時までが前座の拘束時間で、そのさなか地方や都内のホール落語会を頼まれて仕事に行く前座もいて、その穴埋めを前座同士が「ちょっと圭花さん、上野の夜席の前に浅草の昼席も代わりに行ってくれる?」と頼まれて昼夜で働いている光景は日常茶飯事である。これが3年以上続く。当然、つらくて辞めちゃう人もいる。