瞬間の記録を超えた意味=2013年11月30日(鋤田正義さん撮影)【拡大】
鋤田さんから今月(6月)の写真が届いた。毎回、レコーディングやライブの現場に通って撮影をしてくださる鋤田(すきた)さんから「今月の一枚」が送られてくるのを私は楽しみにしている。現場を見ていた肉眼の記憶と、レンズを通し四角く切り取られた風景とは全く違う。私と鋤田さんは、確かに同じ空間の中にいたのに、見ている景色はこんなにも違うのかと気付く。今回の作品には、特にそれを感じた。
事務的詳細でなく
この写真は東京キネマ倶楽部でのワンマンライブで撮られたものである。だが、会場や日時を特定できるものはほとんど写っていない。それでも、画面いっぱいに映る私の手とマイクを見れば、何もかも一瞬で分かる作品だと思った。それはこの作品がいつどこで撮られたかというような事務的な詳細ではなく、黒木渚という人物、それから鋤田正義という人物についての諸々がうかがいしれるという意味で。
手とマイク、それだけで十分私の説明になっている。マイクを握る2本の手を照らす青い光から、これがステージの上だということが分かる、そしてこの人物が音楽を、歌を糧に生きていることも。