もっともアサド氏の再選を歓迎している国もある。その筆頭がイランだ。<ローハーニー大統領は8日日曜に、アサド大統領にお祝いのメッセージを寄せ、「シリア大統領選挙が成功裏に実施されたことは、同国の国民が政治の舞台や国家の将来を決定する場に参加しようという、強い意思を有していることを物語っている」としました。(中略)ローハーニー大統領は、このメッセージの中でさらに、「間違いなく、シリア大統領の勇敢さにより、シリアは危機を、無事に切り抜けるだろう」としました>(6月9日「イランラジオ」)
ところで、公然とは述べないが、イスラエルもアサド氏再選を歓迎している。シリアはイスラエルの力を熟知している。アサド大統領は、口先でいくらイスラエルを罵(ののし)っても、攻撃を仕掛けることはない。そのときは、イスラエルのミサイルが首都ダマスカスを含む、アサド政権の支配地域に打ち込まれ、文字通りアサド政権が消滅することをわかっているからだ。アサド政権が実効支配できているのは、首都周辺と出身地のシリア北西部に過ぎない。しかし、脆弱(ぜいじゃく)な反体制派がアサド政権を倒すと、シリアは誰も統治できていない無法地域になり、そこがアルカーイダの拠点になる。それよりは、「手の内が読める敵」のアサド政権が存続した方がましとイスラエルは考えている。(作家、元外務省主任分析官 佐藤優(まさる)/SANKEI EXPRESS)