中国・上海市【拡大】
一方、5月22日の露紙コメルサントは、輸出開始当初はガスの供給量が制限されるため、「現在の欧州向け価格と同水準の380ドル程度になる」と分析。中国側との交渉で、ロシア側の希望が通ったとの見方を伝えた。
ただコメルサントは、中国側はガスプロムが希望したパイプライン建設などに充てる250億ドル(約2兆6000億円)の前払い金支払いに合意しなかったとも指摘した。中国は、輸出価格を引き下げなければ、前払い金を支払わない考えだったという。結局、この点についての協定は調印されず、秋に延期されることになった。
対日牽制にも同調
すると6月に入り、プーチン大統領がガスプロムに対し、中国に先払いを求めたのと同額の250億ドルの増資を行う準備があると報じられた。6月5日付のコメルサントは、「(前払い金は)確実な合意はなく、まさにそのために増資の話が持ち上がった」と指摘。中国側の対応が見通せないなか、ロシア政府がガスプロムの支援に乗り出した可能性がある。輸出価格では合意したが、ロシア政府による“持ち出し”で、無理やり価格を維持したともみられかねない動きだ。