≪「求刑超え」 最高裁どう評価≫
2009年5月の裁判員制度導入以降、検察官の求刑よりも重い判決を言い渡す「求刑超え」は、主要8罪名だけで43件を数える。「裁判官裁判よりも求刑超えが出やすい」との指摘もある中、過去の量刑傾向を大きく上回る裁判員裁判の判決を、最高裁がどう評価するかが注目される。
最高裁は今年3月末までに出された判決のうち、殺人▽殺人未遂▽傷害致死▽(準)強姦(ごうかん)致傷▽(準)強制わいせつ致傷▽強盗致傷▽現住建造物等放火▽覚せい剤取締法違反-の8罪名に絞って「求刑超え」の割合を調査し、裁判官裁判と裁判員裁判で比較した。
裁判官裁判(08年4月以降)で「求刑超え」とされた被告は2人で、全体の0.1%。これに対し、裁判員裁判(09年5月以降)では1.0%にあたる43人で、単純比較はできないものの、裁判員裁判で増加傾向にあることが伺える。
裁判員裁判の「求刑超え」判決が上級審で修正された例もある。
姉を殺したとして殺人罪に問われた男性被告について大阪地裁は、広汎性発達障害の一種、アスペルガー症候群の影響があったと認定し、「反省が不十分で、社会内に障害に対応できる受け皿がない」と指摘。「再犯の恐れが高い」とし、求刑懲役16年に対し、懲役20年を言い渡した。