小さな石段にあふれる人波は初詣以上だろうか。鎌倉市坂ノ下の御霊(ごりょう)神社は境内の石段を上がったところに江ノ電の線路が走っている。鳥居の目の前だ。
その線路の両側にはピンクや青のアジサイが咲き競い、カメラを手にした人たちが電車を待ち構える。A(アジサイ)トレインはまだか…。
カンカンカン。警報機が鳴り出した。遮断機が下りる前に、拡声器を持った警備員が踏切の外へと観光客を誘導する。
「遮断機から身を乗り出すのもやめてください」
梅雨の鎌倉を訪れる遠方の客人をむげに排除などできない。とはいえ事故が起きたら大変だ。
石段脇には「江ノ電からのお願い」の看板。「線路内での撮影は危険ですので絶対に入らないでください」「列車に向けてのフラッシュ使用、その他列車の運行に影響を及ぼす行為については禁止します」…。
鎌倉のホスピタリティは大いに発揮しつつも、安全確保には万全を期したい。全国からおいでの皆さん、ご協力お願いします。