弁護士である高村氏は、1959年の砂川事件の最高裁判決や72年の自衛権に関する政府見解を引き出して、公明党との交渉に臨んだ。パートナーとなった公明党の北側(きたがわ)一雄副代表も弁護士。高村氏は法律論で自民党と公明党との隙間を埋めていった。また、首相の集団的自衛権への強い意志は連立維持にこだわる公明党を軟化させ、当初は堂々と「反対」と表明していた山口代表も最後は折れた。
もっとも、集団的自衛権の行使容認は限定的な範囲にとどまった。高村氏は与党協議を「暫時休憩」と宣言し、記者団には「憲法9条2項がある限り、これ以上のことをやるには憲法改正が必要だ」と述べた。
現行憲法では限界があることは、首相も十分承知している。多国籍軍などの集団安全保障措置での武力行使の参加も今回は早々に自ら封印した。
本来目指すべきは憲法改正だ。しかし、戦力不保持と国の交戦権否認を明記した憲法9条の改正を公明党が絶対に受け入れるはずがなく、他の改憲政党を足しても、参院では国会発議に必要な3分の2以上の勢力に及ばない。憲法解釈変更は次善策でしかない。