ゲッツェは後半43分に、今大会でW杯通算最多の16得点目をあげたチーム最年長のクローゼと交代して出場。その際、クローゼに「お前が(勝負を)決める気がする」と耳打ちされた。36歳から22歳への勝負をかけたバトンタッチ。選手層の厚さが強みのドイツを象徴するようなシーンだった。決勝ゴールのお膳立てをした23歳のシュルレも前半31分から出場した控え組だった。
育成システム改革
選手層の厚さは、イタリア大会後の低迷期に、選手育成システムの改革に着手した賜物だった。ドイツのかつてのスタイルと言えば、強靱な体力と規律、そして「ゲルマン魂」と称される不屈の闘志だった。だが、時代は変わる。W杯で94、98年大会にベスト8に終わると、欧州選手権では2000、04年に2大会連続で1次リーグ敗退。技術面で後れを取り、伝統的なスタイルは時代に取り残されつつあった。
危機感を募らせたドイツ協会は将来の代表選手を生む育成の改革に乗り出した。まず毎年1000万ユーロ(約13億8000万円)を投じ、年代別の代表強化を徹底。さらに、国内リーグ各クラブの下部組織を整備し、旧東ドイツやトルコ系の選手らの発掘にも力を入れた。今大会で試合に出た18人の3分の1が二重国籍者で、クローゼはポーランド出身、中盤の要、エジルはトルコ系3世だ。