「施設にいる方が楽なのに、なぜ彼女たちは働きたがるのか」と不思議に思っていた会長は、禅寺のお坊さんから「人間の幸せとは、人に愛されること、ほめられること、役に立つこと、必要とされること」と教えられる。そして「福祉施設で大事に面倒をみてもらうことが幸せではなく、働いて役に立つことこそ幸福なのだ」と気づいた。
障がいのある人を福祉施設で受け入れると、年間500万円の費用がかかるという。「国が最低賃金150万円を保障し、雇用を促進すれば350万円以上の財政削減ができる」と、会長は提案する。「誰もが会社で役に立って働ける『皆働社会』が実現できるのではないか」
「役に立っている」という実感を得るのは難しい。そのためには働く場の環境作りが大切なのに実行している会社は少ない。仕事ができて当たり前という空気の職場が多いのではないだろうか。本当は幸福ってすぐそばにある。そばにあるからこそ見失いがちなのかもしれない。