ハッとするような美貌。スラリとしたしなやかな肢体。だが、ひとたびスティックを握ると、長い黒髪を振り乱し、強烈なビートをたたき出す。
日本の音楽シーンに彗星(すいせい)のように現れた注目のアーティスト。その抜群の存在感とパフォーマンスは、見るものを圧倒する。
ドラムボーカルという独特なスタイルのルーツは小学校4年にまでさかのぼる。
「ある音楽番組を見ていて、ひとつのバンドが演奏する際にドラムの方が一回も映らなかったんです。そこに感銘を受けました。『なんて地味で格好いいんだろう』って。テレビだったら映らない、ステージだったらスポットライトも当たらないのに、音楽の基盤を作っていて、あんなに大きな楽器を操っているということに心ひかれて、ドラマーになろうと決めました」
しかし、5歳からバイオリンを始め、「飽きっぽくて長続きしなかった」という“前科”があったため、「楽器はダメだ」と両親が許してくれなかった。
転機となったのは、父親の仕事の関係でアルゼンチンに移住してから。14歳の時に電子ドラムを買ってもらい、その楽しさにハマった。