火星の大気は非常に薄いが、主成分は二酸化炭素で、NASAはこれに着目した。ヘクト博士は、将来、有人宇宙船が地球と火星を往復するのに必要な酸素は火星で十分作り出せると明言。さらに、作り出した酸素や火星での採掘物などでロケット燃料(軽水素)も製造する。
このほかにも、火星の資源を地球で有効活用するため、探査車には、撮影した画像をパノラマに立体化したり、火星資源の科学組織や鉱物の分析に加え、遠方からでも岩や地表が含む有機化合物を検出できる高性能カメラや分光計、地中探査レーダーなどを搭載するという。
運ぶ物資を減らす
最新機器を搭載したこの探査車にかかる費用は19億ドル(約1955億円)。ゲルステンマイヤー副主任は今回の実験について「火星には人間の生命活動の維持に必要な資源が存在する。有効活用すれば、有人探査の際に地球から運ぶ物資などを減らすことができる」と予想する。
NASAは04年から火星で無人探査車「オポチュニティー」、12年から後継の「キュリオシティー」をともに活躍させ、貴重な成果を上げているが、20年に打ち上げる次期探査車の重要性はかつてないほど高い。