世界保健機関(WHO)は8月8日、西アフリカで拡大の一途をたどるエボラ出血熱の感染について「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」に該当すると発表した。「さらなる感染拡大が招く結果は極めて深刻だ」と指摘する一方、現時点で渡航や貿易の全面的規制は必要ないとした。
WHOのマーガレット・チャン事務局長はジュネーブでの記者会見で、西アフリカの感染地域の各国には「(エボラ熱に)対処する能力がない」と述べ、拡大阻止には国際社会の協力が不可欠だと強調した。
エボラ熱についてWHOは専門家による緊急委員会を(8月)6、7日に開催。今回、緊急事態を宣言することで、エボラ熱の封じ込めに向け各国に早急な取り組みを促した。
WHOのフクダ事務局長補は会見で「エボラ熱は未知の病ではない。封じ込めが可能な感染病だ」と説明。感染者が集中する地域で「人の動きを制限することが重要だ」と語った。