戦略家不在の悲劇
69年にニクソン氏が発表した「ニクソン・ドクトリン」は、(1)アメリカは条約義務を守る(2)核大国が同盟国や米国の安全にとり重要と考える国の自由を脅かす場合には「盾」を提供する(3)その他の侵略に関しては条約義務に応じて求められれば軍事、経済支援を提供するが、国防は当事国が一義的責任を負う-との内容だった。
オバマ氏が今年5月に軍事よりも外交を重視するとの外交方針を発表した際、米国ではニクソン・ドクトリンに重ね合わせる論調が目立ったが、外交専門ウェブ誌「ザ・ディプロマット」の共同編集者、ザカリー・ケック氏は別物であると論じた。
「ニクソンとキッシンジャー国家安全保障担当大統領補佐官はベトナム戦争後に米国が海外で展開できる軍事力の減少を認識し、ソ連との緊張緩和や米中和解を実現した。だが、オバマ政権は敵対国との緊張を減じる真剣な努力をしていない」
大戦略なく「場当たり」を続けるオバマ政権と向き合う外交筋は「オバマ氏の悲劇はキッシンジャー氏のような戦略家が近くにいないことだ」と嘆いた。(ワシントン支局 加納宏幸/SANKEI EXPRESS)