米ミズーリ州セントルイス郊外のファーガソン【拡大】
支配層ほとんど白人
住民の怒りの背後には、地元警察への根深い不信がある。セントルイス一帯は白人と黒人が対立してきた歴史があり、ファーガソンは住民2万1000人の3分の2以上が黒人だが、市長や市警本部長ら支配層は白人が占める。警察官も全53人のほとんどが白人で、黒人は3人しかいない。自動車を停止させて行う職務質問やその後の逮捕の対象は、9割が黒人に集中していた。
また、今回の事件では、警察は抗議デモに対して装甲車両に守られた重武装の警官隊を投入し、怒りに油を注いだ。警官隊は軍服のような戦闘服と暗視ゴーグル姿で、催涙弾や特殊閃光手榴弾(せんこうしゅりゅうだん)などを使用した。デモ参加者に小銃のレーザー照準光を当てたとの報道もある。背景には、中枢同時テロ以降、有事に備え地方警察にも軍隊並みの装備を供与する動きが連邦政府に広がったという事情がある。イラクやアフガニスタンの米軍部隊が減り、使わなくなった小型戦車や地雷対策用トラックなどの装備品約43億ドル相当が全米にある数千の地方警察などに払い下げられている。