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脈々と受け継がれてきた「幻想に誘う」手法 「だまし絵II 進化するだまし絵」 (2/5ページ)

2014.8.18 13:00

クリストフェル・ピアーソン「鷹狩道具のある壁龕」1660年代(推定)_油彩・キャンヴァス_ワシントン・ナショナル・ギャラリー_Courtesy_National_Gallery_of_Art,Washington

クリストフェル・ピアーソン「鷹狩道具のある壁龕」1660年代(推定)_油彩・キャンヴァス_ワシントン・ナショナル・ギャラリー_Courtesy_National_Gallery_of_Art,Washington【拡大】

  • フィリップ・ハルスマン「官能的な死」1951年(撮影)_モダンプリント(インクジェット)_ニューヨーク、フィリップ・ハルスマン・アーカイヴ。(C)Philippe_Halsman/Magnum_Photos
  • 一定の方向から光が当たると変身するラリー・ケイガン「トカゲ」(右)=2014年8月8日(原圭介撮影)
  • 前に立つ人をデジタル技術で木片に映し出すダニエル・ローズィン「木の鏡」(2014年)=2015年8月18日(原圭介撮影)
  • 「だまし絵II」出品のために描かれたというパトリック・ヒューズの新作「広重とヒューズ」(2013年)と宮澤チーフキュレター=2014年8月8日(原圭介撮影)
  • ヴィクトル・ヴァザルリ「BATTOR」1977年_アクリル絵具・キャンヴァス_北海道立近代美術館。(C)ADAGP,Paris&JASPAR,Tokyo,2014_E1035

 デジタル技術も駆使

 クリストフェル・ピアーソン(1631~1714年)の「鷹狩道具のある壁龕(へきがん)」は17世紀に描かれたとみられるが、本当に壁にくりぬかれた壁龕のなかに、鳥かごや弓矢など狩りの道具が入っているように描かれている。

 「本物のように描く」という“だまし”の技術は、とくに写真が発明される19世紀まで画家にとっての最大のセールスポイントだった。

 ところが、20世紀以降、写真の真実味を逆利用した作品が登場してくる。フィリップ・ハルスマン(1906~79年)の「官能的な死」は、写真の左側にも収まっているシュールレアリスムの画家、サルバドル・ダリ(1904~89年)の素描に基づいて、写真家のフィリップが撮影した。ヌードが組み合わされた形は死の象徴・どくろに見える。

 さらに現代の写真家では、杉本博司(1948~)がジオラマ・シリーズで、人形などを配置して、本物より本物らしい風景を撮った作品をつくる。路上にあふれるひび割れやきずあとを、さも作家自身が破壊したあとのように撮影する田中偉一郎(1974~)の「ストリート・デストロイヤー」も展示されている。

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