【国際情勢分析】
レイプ被害が深刻なインドで、取り締まりの法律が厳格化されて以降、女性側による虚偽申告や法の拡大解釈による訴えが急増している。裁判では無罪判決が相次ぐ。非政府組織(NGO)が開設した電話相談のホットラインには、カネ欲しさや報復で被告にされたといった訴えが次々と寄せられている。
電話相談が大反響
首都ニューデリーの家庭裁判所の庭に、レイプ事件で無罪を訴える男性ら約50人が集まっていた。NGO「家族救済協会」が開いた相談会を頼ってきた人たちだ。“被害者”の家族の女性の姿もある。
市内で宝石店を営むアナンド・ソニさん(49)は、電話での相談の後、毎週土曜日に開かれているこの集会にやってきた。ソニさんの説明によると、息子が昨年(2013年)11月に見合い結婚をした。家族は誰も知らなかったことだが、息子は性的不能の病を抱え、夫婦関係は1カ月もたたずして破綻した。
今年6月、ソニさん一家は衝撃を受けた。息子の妻だった女性が、結婚4日後に義父にレイプされたと警察に「虚偽の被害」を届け出たのだ。女性の損害賠償要求を断ったことへの報復とみられる。ソニさんは「警察は女性の訴えをほとんど信用しなかった」と言うが、起訴され、裁判は進んでいる。