防衛省がまとめた新たな宇宙開発利用に関する基本方針案の全容が判明した。宇宙を、北朝鮮の弾道ミサイル発射の兆候や発射情報を早期に探知し即応するための「対処空間」と位置付け、宇宙航空研究開発機構(JAXA)と連携して進める実証研究を重点的取り組みとして明記した。宇宙監視部隊創設や比較的打ち上げが容易な小型衛星の調査研究に着手することも盛り込んだ。8月29日に正式決定する。
ミサイルの兆候探知
年内に改定する日米防衛協力指針(ガイドライン)で宇宙分野の日米連携は重要項目の一つ。新方針の内容が反映される見通しだ。
新方針は「弾道ミサイルの飛来など各種事態に対処するための宇宙空間の利用が極めて重要」と指摘した。防衛省が開発した高性能の赤外線センサーを文部科学省とJAXAで計画中の新型衛星に搭載して宇宙で実証研究し、衛星画像の解析技術を蓄積する。共同研究自体は昨年4月に始まっている。防衛省は2015年度予算の概算要求に48億円を計上する方針だ。
役割を終えた人工衛星や破片など宇宙を漂う「宇宙ごみ」の増加や、人工衛星を攻撃する兵器の開発が進んでいることを受け「宇宙空間の安定的利用に対する重大な脅威が存在している」と分析。宇宙監視を任務とする専従組織設置の検討を打ち出した。