しかし、関係者の話によれば、12年初頭には毎月約80万ドルの赤字が出て、資本金は約4000万ドルも毀損(きそん)してしまっていた。取締役会は12年1月に栃迫氏を解任した。経営悪化の直接の原因は一日50万件の送金処理が可能なシステムをつくったのに、送金依頼は日に2000から3000件しかなく、システムが過大だったからだという。
その後、新経営陣らは資産売却が妥当と判断し、13年6月までに米金融サービス会社、ヴィアメリカス(本社・メリーランド州)に630万ドルで売却した。日本人120人を含む旧MFICの株主180人にはそれに見合ったヴィアメリカス株が対価として交付され、MFICは解散した。
MFICの取締役会にはジェームズ・オー氏をはじめ金融の専門家らが顔をそろえていたが、なぜ経営破綻をくい止められなかったのか。栃迫氏はじめ旧経営陣らは口をつぐんでいるが、それこそ、ビジネススクールで学びたい失敗の教訓である。(気仙英郎/SANKEI EXPRESS)