1996年度に比べた税収の増減額=1997年度~2014年度。※2011年度までは一般会計分、12年度以降は復興特別所得税と復興特別法人税を合算(データ:財務省統計)【拡大】
【国際政治経済学入門】
アベノミクスによる景気の好転を受けて、2013年度の一般会計税収は46兆9529億円となり、前年度実績(43.9兆円)比で6.9%、3兆円余り増えた。財務省はこれについて、13年度の当初予算の税収見込み43兆円と比較せずに、補正後の予算で見込んだ税収に比べて「1.6兆円上振れ」と矮小(わいしょう)化した数値を記者発表した。財務省はご丁寧にも、1.6兆円分のうち1兆円は「一時的要因による」と説き、アベノミクス効果を打ち消すのに努めた。
意図的に低く見積もり
名目国内総生産(GDP)の前年比伸び率は1.9%であるのに対し、税収総額は6.9%伸びた。GDP増加分1に対して税収がどれだけ増えたかという税収弾性値は3.7で、従来の実績値である3~5の範囲内だ。財務省は税収弾性値を1.1程度にしか見ない。内閣府は、経済モデルを使った「経済成長と財政健全化に関する研究報告書」(11年10月17日付)で01~09年の税収弾性値を4.04と算出している。財務官僚は弾性値を決め打ちして、国家経済政策の要の予算を運営し、税制を動かす。この狂った国家経済の羅針盤(税収弾性値)をそのままにしておかず、首相は正確な弾性値を内閣府や御用学者ではない専門家に算出させて15年度予算以降に生かすべきだ。