とはいえ、ダンサーと俳優では表現の“文法”がまるで違う。「ぶつかってもめましたよ。マイムはこういうものなんです、といわれても分からないんです。今日も、私のインプロ(即興)の演技に、『早い』とか『遅い』とか言われて、全否定されたような気持ちになったところです」
だが一方で、動きで雄弁に物語る、身体表現の新たな可能性への気づきと喜びは、大きい。「動きのものと、演技のものとを付き合わせて新しい表現ができないか。積み重ねてきたものを今回は明確にしてみたい」と意欲的だ。
食事の誘い断り没頭
今回、小野寺が「悲惨な童話を題材にしたい」とデンマークの作家アンデルセンの童話「赤い靴」を選択。その世界観を下敷きに、小野寺を中心に片桐らが表現のイメージや動きの案を出し合い、6月から創作を始め、7月には城崎(兵庫県)で2週間の合宿もした。「台本から作るので、合宿中は食事に誘われても『全く時間がないです』とお断りするくらい」集中して作り込みを重ねてきた。