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【軍事情勢】「米史上最悪のスパイ」と日本をつないだ「甘い罠」 (4/4ページ)

2014.9.7 08:00

 ウォーカーは結局、家族を巻き込み破滅する。離婚した妻が子供の養育費を全く払わず、長女まで海軍に入隊させようとした蛮行に憤激し、FBIにタレ込んだのだ。

 ウォーカーは兄とともに終身刑になるが「完全自白」と終身刑を受けいれる代わりに末っ子の減刑を要求。末っ子は懲役25年(2000年に仮釈放)で済む。もっとも「完全自白」には、上級曹長の罪状を重くする証言も含まれた。上級曹長は2048年まで仮釈放のない懲役365年を受ける。ウォーカーは仮釈放を来年に控えてこの世を去ったが、天の配剤だろうか。

 「最高の赴任地」ニッポン

 ところで機密保持について当時、米海軍はらしからぬ(・・・・・)ミスを積み重ねた。一つは情報収集艦が1968年、北朝鮮軍の攻撃を受け拿捕されたケース。その際、KW-7暗号機が没収され、ソ連に送られた。だのに、国防総省の諜報機関・国家安全保障局(NSA)は機器と規約を一部変更しただけで使い続ける。変更内容はウォーカーがソ連に提供し、既述した米海軍電報100万通解読に大いに貢献。ベトナム戦争(1960~75年)でも苦戦を強いられた。さらに末っ子は空母において、(丸秘)文書が入った焼却袋を作戦室奥の空調焼却室に相互監視もなく、一人で持っていく任務に就く。また、作戦室備え付けの艦内電話帳に記された、(丸秘)文書保管金庫のダイヤル番号を見つけてもいる。

 米国はスパイ事件の度に学習し対策を講じてきた。ウォーカーは事情聴取に「大型小売店Kマートは、米海軍以上に良い保安態勢も持つ」とうそぶいたが、スパイ防止法もなく、特定秘密保護法にも批判が起きる日本は、スパイが熱望する「最高の赴任地」であり続ける。(政治部専門委員 野口裕之)

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