【再び空へ 零戦からMRJへ】(1)安全・快適性追求 妥協なき翼継承
米軍を畏怖させた技術力
三菱航空機(名古屋市)が開発している国産初の小型ジェット旅客機「MRJ」(三菱リージョナルジェット)。「YS-11」以来、40年ぶりの国産旅客機で、プロペラのないジェット機としては初めての国産旅客機となる。年内に初号機の機体が完成、来年6月までに悲願の初飛行が行われる予定だ。戦後の日本の航空産業がたどりついた到達点であり、未来への出発点でもある。
軽量化などに尽力
3日、県営名古屋空港(愛知県)のすぐ脇にある三菱重工業の技術試験場。工場の中に一歩足を踏み入れると、想像よりも大きな黄色い機体が目に飛び込んできた。機体は作業用の青色の鉄柱に遮られ、その全貌までは把握できない。
「長い間、自分たちの機体を造りたくても造れなかった時代の先輩たちが残した財産を使わせてもらい、ようやくここまできた」
三菱重工グループの三菱航空機でMRJ開発に長年携わる真保雄一試験管理室長は、試験機を前に感慨深げにこう語った。