国内で本格的な格安航空会社(LCC)が誕生して3年目に入った。関西国際空港を拠点とするピーチ・アビエーションが単年度最終黒字を達成するなど順調にみえるが、LCCが全体の3~4割を占める欧米と比較すると航空市場の違いが浮き彫りになる。日本では日本航空と全日本空輸が圧倒的な存在で、日本のLCC3社は日航、全日空の傘下にある。大株主たる2強はライバルに発着枠や需要を奪われたくはないが、新興勢力の成長も許したくないのが本音。航空関係者は「独立系でなければ真の成長はない」と指摘する。(中山玲子)
アイルランド発祥でヨーロッパ最大のLCC、ライアン航空は当初、フルサービスキャリアとして運航していたがLCCに業態転換したことで、いまや世界トップクラスのLCCに成長した。ある大学関係者は、成長の理由について「同業の大手から出資を受けない独立系であることが大きい」と指摘する。
同業の大株主が影響力を持つ場合、競合路線でLCC側が遠慮したり、譲ったりするケースが少なくないが、独立系のLCCならば利益が見込める路線で真っ向勝負に挑んでいくことができるのが理由だ。欧米のLCCは、フルサービスキャリアへの遠慮のない格安戦略が成長の源泉となっており、米最大のLCC、サウスウエスト航空も同様に独立系だ。