ピーチは発着枠をめぐって日航や外資との陣取り合戦では大株主に貢献してきたが、飛躍に向けた人的支援は得られそうにない。そこには、LCCのこれ以上の成長を求めていない2強の本音が垣間見える。つまり、2強にとって「LCCは生かさず、殺さずが望ましい」(関係者)というのだ。
アジア最大のエアアジアも、日本に海外で展開するのと変わらないLCCビジネスモデルを導入しようしたが、結果的にパートナーを組んでいた全日空と提携を解消した。日本流ビジネスとの対立の溝を埋められなかったからだともいわれるが、エアアジアは今度は楽天などと組み再就航を目指すことになった。
航空市場の競争が活性化されるには、フルサービスキャリアやLCCといった価格帯の選択肢を多くそろえるだけでなく、多くの航空会社が参入してくることが重要だ。日本は基本的に日航、全日空による寡占状態が続き、第3極として期待されていたスカイマークも経営危機に陥っている。
現在、LCCは国内で7%を占める。今後も欧米並みにシェアを伸ばしていけるかは独立系のLCCが誕生するか、大手傘下でもいかに経営の独立性を保ち、健全な競争を確保できるかにかかっている。