イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」をめぐる構図=2014年9月8日【拡大】
問題は、無人機による空爆などでぎくしゃくしながらも「対テロ」という観点からは協力関係にあったパキスタンと違い、米国はシリアのアサド政権と敵対していることだ。
米政府は、シリア内戦でバッシャール・アサド大統領(48)と戦う穏健な反体制派勢力に訓練を施す計画を持っているが、オバマ政権の高官はAP通信に対し、シリア国内で信頼に足る陸上部隊を創設するのが狙いであると明かした。
昨年9月、自国民に化学兵器を使ったとされるアサド政権への空爆を断念したオバマ氏が、イスラム国と同時にアサド氏をも葬り去ろうとしているのだとすれば、穏健派への軍事支援で長期的な取り組みが必要になる。一方、米軍による空爆は、「許可なく攻撃すれば侵略行為とみなす」と警告するアサド氏が最低でも黙認する形を作らなければ効果は上がらない。
シリアのアサド政権をどう扱うかによってイスラム国への対処方針は大きく異なってくる。「軍事より外交」を旨とするオバマ政権の「戦略」は正念場を迎えている。