財務官僚が事実上支配する内閣府は「中長期の経済財政に関する試算」(7月25日付)で経済成長率「1」に対する一般会計税収の伸び率(税収弾性値)を「1」とし、消費税率を継続的に引き上げないと財政赤字膨張に歯止めがかからないというシナリオを首相に提示した。
ところが、これまでの実績では弾性値は「3~4」に達することが、内閣府の別の試算で証明されている。弾性値を「3」とすれば、名目経済成長率2~3%を維持することで、財政均衡目標は達成できる計算になるのに、内閣府はそれを隠した。
もともと国内貯蓄で政府債務の9割以上が吸収される世界最大の純債権国、日本で国債暴落が起きる恐れがないから日本国債は市場不安時の世界の投資家の逃避先となってきたのだが、財務省にすり寄る論者たちが虚妄のリスクを喧伝(けんでん)して増税を促すのだ。(産経新聞特別記者・編集委員 田村秀男/SANKEI EXPRESS)