「児童文学のノーベル賞」といわれる国際アンデルセン賞の作家賞を受賞した作家・上橋菜穂子(うえはし・なほこ)さん(52)が10日、メキシコ市で賞を主催する国際児童図書評議会(IBBY)からメダルと賞状を授与された。
日本人作家は20年ぶり
日本人作家の受賞は1994年のまど・みちおさん以来20年ぶり。画家賞を含めると4人目となる。
1989年のデビューから四半世紀。2年に1度、子供の本に貢献した作家に贈られる賞に、「夢を見ているよう。これをきっかけに優れた日本の作家の本がどんどん海外に出て行ってくれたら」と喜ぶ。
代表作は、産経児童出版文化賞を受賞した「精霊の守り人」(96年刊)に始まる、「守り人」シリーズだ。「子供が読んでも、大人が読んでも面白い物語」と自ら胸を張るとおり、短槍(たんそう)使いの女用心棒バルサを主人公にした壮大な異世界ファンタジーは、全10巻と外伝2巻が刊行され、累計370万部を突破するベストセラーに。2016春にはNHKで綾瀬はるかさん主演の実写ドラマも放送開始予定。日本だけでなく、英語、スペイン語、イタリア語、中国語など多くの言語に翻訳されるなど時代と国境を超えて愛され続け、「物語ほど自然に感情に訴えながら伝わるコミュニケーション手段はない」との信念を裏付ける。