いまだに治療法がみつかっていない「難病」。大学院生としてミャンマー難民研究にたずさわっていた2008年、大野更紗(さらさ)さんは、自己免疫疾患系の難病を発症した。入院生活をつづった『困ってるひと』で作家デビュー。その後退院し、今年7月に続編『シャバはつらいよ』(ポプラ社、1300円+税)を発刊した。更紗さんに話を聞いた。
「どうやって伝えるか」
更紗さんのデビュー作『困ってるひと』に出会ったのは2011年、私の家族が難病になって1年目の時だった。その難病は医療費助成の対象となる「指定難病」でないにもかかわらず、治療法もなく、病気に詳しい医者とも出会えず、暗く長いトンネルをさまよっていた。わらにもすがる思いで難病の本をあれこれ読み、おなかいっぱい…。そんなタイミングだった。
次から次と襲うアメージングでシリアスな症状をエンターテインメントにつづった本にハートをわしづかみにされ、ラジオ番組に更紗さんにお越し頂き対談した。そこから、私も新たな視点で闘病というものを捉えることできるようになり、家族のことを尋ねられても、「絶賛難病中です~」と返せるようになった。