「こんな状態で6年後に間に合うのか」。これまでロンドン五輪をはじめ夏冬6大会を取材した経験から言うと、答えは「たぶん大丈夫」だ。思えばいつの大会でも建設工事の遅れがニュースとなった。特に2004年のアテネ五輪の工事は遅れに遅れ、大会直前まで開催が危ぶまれた。競泳会場に至っては屋根が設置できないまま開幕した。だが競技が始まると世界新と五輪新が連発、「高速プール」と評価され、北島康介選手の2種目制覇など感動の中閉幕した。施設の不備を伝える報道はいつの間にか消えていたのだ。
一方で、競技施設が五輪後に“負の遺産”とならぬよう、恒久施設を減らすなどの工夫が必要だ。閉幕後の維持管理費の問題は、五輪開催地が抱える共通の悩みとも言える。
6年後、この雑草に覆われた土地に世界のトップアスリートが集まる。今はただ静かで心地よい潮風が、熱気に変わる。解体を待つ国立競技場を見上げたときと同様、ちょっと身が引き締まる思いがわき上がってきた。(写真・文:写真報道局 奈須稔/SANKEI EXPRESS)