登録制のボランティアが新宿2丁目の店にコンドームを配達する「デリバリーボーイズ」と、飛び入り参加の一般社団法人「Get_in_touch」理事長の東ちづる(左)。今後、活動のためのクラウドファンディングを予定=2014年9月5日、東京都新宿区(山下元気さん撮影)【拡大】
「日本では厚生労働省が伝えたいと思っても、どこにゲイの人たちがいるのかわからないし、届ける方法もわからない」。そこで、当事者や研究者が中心となり厚労省とともに、2003年に東京で「akta」を、大阪でも「dista」を立ち上げた。現在は全国6カ所でコミュニティーセンターが運営されている。
aktaのメンバーでHIV予防についての調査・研究も行っている岩橋恒太さんは、「日本で新たに報告されるHIV感染者は年間1500人以上で、減っていない。そのうち66%の人たちが男性同士の性的接触で感染している」と、厳しい状況を指摘する。特に、若い世代で感染が増えているという。「性教育に対するバッシングもあり、必要な情報が十分に伝わっていない」と岩橋さん。
「すべての人がすでにHIVとともに生きている」という視点にドキリとさせられるが、もっともな話なのだ。この国のあまり知られていない現実…。佐久間さんは「表現を工夫しながら、必要な情報を必要な人に届けていくことが大事」と語る。