≪モノクロの世界 励まし合って下山≫
降り注いだ噴石が山小屋にぶつかり、天井からは大きな音が響く。御嶽山の山頂に近い「二ノ池本館」支配人の小寺祐介さん(34)は、逃げ込んできた登山者ら約50人にヘルメットを配り、火山灰にまみれて下山した。
山頂付近では多くの人が心肺停止で見つかった。「犠牲者が出てしまったのは、残念でならない」。小寺さんが“その時”を振り返った。
「わぁー」。標高約2900メートル付近にある山小屋に、数十人が叫びながら駆け込んできたのは27日正午ごろだった。小寺さんが外を見ると、すぐ近くで噴煙が空高く舞い上がっていた。
登山者を小屋の食堂に誘導すると、天井から大きな音。「ガンガンガン」。噴石が次々に降り注いできた。大きな石が当たったトイレは、屋根が崩れ落ちた。
「このままでは危ない」。館内にいた人全員を、屋根が二重になった場所に集め、ヘルメットを配った。「ここなら屋根が頑丈だから大丈夫。安心して」