窓から外を見ると、噴煙で真っ暗だった。突然雷が鳴り、雨も降ってきた。自家発電機で照明をつけた。さらに逃げ込んできた登山者はずぶぬれで灰にまみれていた。
1時間ぐらい過ぎただろうか。石が降り注ぐ音がしなくなり、雨もやんだ。外に出ると、見たことがない風景が広がっていた。「色がない」。白黒の世界に、言葉を失った。足元には火山灰が10センチ近く積もっていた。
大声で登山者を励ましながら、9合目の山小屋「石室避難小屋」を目指し下山した。「1列に並んで。慌てないでゆっくりと」。時折吹き付ける強風に火山灰が舞い上がり、登山者は目や口元を手で覆った。
石室避難小屋には、さらに100人近い登山者がいた。「まだ誰かが来るかもしれない」。一緒にきた登山者の下山をスタッフに委ね、小屋に残った。小寺さんが下山したのは、27日夕方だった。(EX編集部/撮影:写真報道局 大山文兄、甘利慈/SANKEI EXPRESS)