厳密に言えば、本作は母と娘の物語と言っていい。ステファニー監督はマルタに質問をぶつけ本音を引き出すことによって、自分とは何か-と自己存在の確認もしているのだ。とにかく家庭が複雑過ぎた。ステファニーは三女だが、姉妹はそれぞれ父親が違うだけに、マルタ、姉、3人の父親に対しては受け止めきれないほど、ややこしい思いが交錯してしまうのだ。「母の華麗なる足跡の紹介を映画に期待した方は、きっとがっかりするかもしれませんね」
今は爽快感しかない
ステファニー監督は作中、マルタと3姉妹が仲良くピクニックに出かけるシーンを挿入し、一つの家族のあり方として提示してみせた。この映画を作ったことでマルタとの関係に何か変化は生じたのだろうか。「変化はありません。心理的な距離はずっと近かったわけですしね。母に抱いたもろもろの感情を映画という形で外に放出させ、すっきりさせた。今の私には爽快感しかありません」。マルタも編集段階で映像を見たマルタは、ステファニー監督に何も注文を出さなかったそうだ。