セウォル号沈没から100日を迎えた7月24日、ソウル市中心街で抗議デモを行う遺族ら。韓国では一部の強硬な遺族が「特権意識」を振りかざし、国会が5カ月も機能を停止する事態を招いた=2014年、韓国・首都ソウル(共同)【拡大】
【国際情勢分析】
韓国の国会で9月30日、90余りの法案が一気に可決された。法案成立は5カ月ぶり。旅客船セウォル号沈没事故に関する特別法案をめぐり、遺族や野党の一部強硬意見に引きずられ、国会が空転していた。遺族団体幹部による暴行事件も伝えられ、韓国世論に、遺族に対する冷ややかな見方も広がった。発生から半年近くたった今、セウォル号事故は、韓国国民の間に深刻な亀裂を生んでいる。
5カ月も国会が機能停止
「セウォル号法交渉とは別に、法案を処理すべきだというのが多くの国民の希望だ。5カ月間、国会を封鎖し、他の91件の法案まで処理を妨げる大義名分はない」。韓国大手紙、東亜日報は9月26日の社説(電子版)でこう強調した。
セウォル号法とは、事故の真相究明に向けた特別法案を指す。事故で犠牲となった高校生らの遺族団体が、特別法で「遺族が加わる調査委員会に捜査権と起訴権を与えるべきだ」と主張。民間人への捜査・起訴権付与は「司法の根幹を揺るがす」と応じない政府・与党に対し、遺族側はソウル中心部でハンガーストライキを行うなどして抗議を示し、遺族を支持する野党が法案審議を拒否してきた。