今回の問題をめぐっては、報道の自由が侵害されることを懸念する声が国内外の多くの報道機関や関係団体からあがっていた。日本新聞協会編集委員会は「報道機関の取材・報道活動の自由、表現の自由が脅かされることを強く懸念する」との内容の談話を発表。国際ジャーナリスト組織、国境なき記者団(本部パリ)も、韓国側に加藤前支局長を起訴しないよう求める声明を発表していた。(ソウル 藤本欣也/SANKEI EXPRESS)
≪強権発動 異例の事態≫
韓国の検察当局が、産経新聞の加藤達也前ソウル支局長を事情聴取の末、起訴した。韓国の国内法をもとに海外の報道について捜査し、国際社会の懸念の声を無視する形で“強権発動”に踏み切った極めて異例の事態だ。民主国家を自任する韓国ではあるが、言論の自由が脅かされている。
今回の問題は、加藤前支局長が書いたコラムが「朴槿恵(パク・クネ)大統領の名誉を毀損(きそん)した」とする韓国の市民団体の告発から始まった。このコラムは、韓国大手紙、朝鮮日報が先に掲載したコラムなどを引用したものだが、検察側は朝鮮日報の記者を出頭させた上での事情聴取には踏み切っていない。国内と海外のメディアへの異なった対処に疑問の声が多い。