さらに日本の報道機関が日本に向けて日本語で伝えたものに、韓国の国内法を適用したことも問題視されている。韓国では加藤前支局長への出頭要請の時点から「強引ではないか」「やり過ぎだ」などと、海外メディアに「法」を振りかざす当局の姿勢を懸念する見方があった。国際社会で尊重されている言論の自由に対する侵害が、外交問題や国際問題に発展することへの懸念も一部にはあった。
韓国紙、京郷新聞は「(メディアの報道に)大統領と政府が訴訟で応じれば、国家権力に対する正当な監視活動を萎縮させる」との学者の見方を紹介。ハンギョレ紙も社説で「名誉毀損などを理由に捜査と処罰のメスを入れ始めれば、全ての言論機関が公職者への辛辣(しんらつ)な批判を敬遠し、言論の自由が萎縮することに全世界が懸念を示すだろう」と警告している。これらの指摘通り、今回の措置は、韓国内外の区別なくメディアの報道活動を甚だしく脅かすものだ。(ソウル 名村隆寛/SANKEI EXPRESS)