6月1日、全国ツアーのファイナルコンサートで渋谷公会堂のステージに立つ黒木渚=2014年、東京都渋谷区(鋤田正義さん撮影)【拡大】
しかし、地元のライブハウスから最初の100人とともに出発し、道中たくさんの人を巻き込みながら、ようやく武道館にたどり着くその日を思うと、目指さざるを得ないのだ。約束の達成を喜ぶ歓喜の声、昔から応援してくれている人も、途中から旅に加わった人も一緒くたになって同じ歌をうたう。私はきっと泣いてしまうだろう。そんな一日が欲しくて、とにかく突っ走ることにした。
ワンマンの会場は少しずつ大きくなり、全国ツアーも回れるようになった。各地でワンマンライブをするたびに、「一緒にもっと広い景色を見に行こう」と言い続けてきた。でも、実は武道館へは、私がみんなを連れて行くのではない。お客さんから連れて行ってもらうことでしか、アーティストはその場所へ行けないのだ。だから、それぞれの土地でワンマン会場がランクアップするたびに深く感謝する。少しずつ、確実に、みんなが約束の場所へと進み始めている。