映画「マルタのことづけ」(クラウディア・サント=リュス監督)。公開中(ビターズエンド提供)【拡大】
物語は、フランス西部のナントという街で1人のドイツ人将校がフランス人の青年たちによって暗殺される事件から始まる。ヒトラーは即座にその報復としてフランス人150人の銃殺を要求する。フランス人でありながら占領軍指揮下で働くシャトーブリアン郡副知事と、占領軍協力者となったかつてのフランス共産党員によって「報復のリスト」が作成される。シャトーブリアン収容所からは27人が選ばれる。その中には収容所の中での最年少である17歳の青年ギィも含まれていた。収容所で恋心を育むオデットに走り書きの手紙を残し、ギィは他の政治犯たちとともに処刑場へ連行されていく。
双方の違和感、葛藤描く
ドイツの著名な作家であるエルンスト・ユンガー(1895~1998年)の回想録に着想を得て、シュレンドルフ監督が史実に基づき脚本を書き上げた。「ドイツ人の命は重い」「ナチスは歴史を知らないのか」「銃殺が暗殺を、暗殺がさらなる銃殺を生む」「命令の奴隷になるな、良心の声を聞きなさい」など、心に残るせりふが淡々と語られる。登場人物のほとんどが実在したとあって、ドイツ側、占領軍指揮下で働くフランス側、レジスタンス側など、キャラクター設定が綿密だ。アドルフ・ヒトラー(1889~1945年)の暴走に違和感を覚えるドイツ人将校たちや、矛盾を抱えながら占領軍の命令に従うフランスの役人たちの葛藤が丁寧に描かれているのも興味深い。