地元・福井で夫と子供3人で暮らす。夫婦そろって読書好きという作家の宮下奈都(なつ)さん。「今回は珍しく夫がほめてくれたんです。理屈抜きで幸せな気持ちになれたって。ホッとしました」と笑う=2014年10月22日(塩塚夢撮影)【拡大】
タイトルにもある「しるし」という言葉。「偶然よりかは縁があって、奇跡というよりささやかなもの。普段見過ごしたりするけれど、いろんなタイミングが合わさったときに光って、その存在を教えてくれる。生まれも育ちも何もかも違っても、必ずしるしは光って誰かと誰かを引き合わせてくれる。そうだったらいいなという思いを込めました」
ちなみに、自身の夫との出会いは就職試験の会場。「1人だけ彼が本を読んでいた。すごく気になって、思わず『なんの本を読んでいるの』と声をかけていた。『しるし』を見つけたのかもしれませんね」と照れながらほほ笑む。いつか、きっとどこかに。「しるし」は輝く日を待っている。(塩塚夢、写真も(SANKEI EXPRESS)
■みやした・なつ 1967年、福井県生まれ。上智大学卒。2004年、「静かな雨」が文学界新人賞佳作入選。07年、『スコーレNo.4』が文庫化を機にTwitter上で結成された「本屋さん秘密結社」によって多くの書店から支持を受けた。3児の母でもある。著書に『窓の向こうのガーシュウィン』『終わらない歌』など。
「ふたつのしるし」(宮下奈都著/幻冬舎、1300円+税)