北朝鮮の特別調査委員会による拉致被害者らの再調査の実態を把握するため、平壌入りした外務省の伊原純一アジア大洋州局長(58)をトップとする日本政府代表団は28日、調査委トップの徐大河(ソ・デハ)委員長ら調査委幹部と協議した。代表団は「拉致問題が最重要課題だ」との安倍晋三政権の方針を徐氏らに直接ぶつけ、拉致被害者らの調査を迅速に実施し、その結果を一刻も早く報告するよう求めた。
協議後、取材に応じた伊原氏によると、午前には、調査結果の報告を迅速に行うよう求めるとともに、調査委の体制や調査の現状について説明を受けた。
午後は、徐氏と同じく拉致被害者らの情報管理に深く関わっているとされる秘密警察の国家安全保衛部幹部で、調査委副委員長の金明哲(キム・チョンチョル)氏や拉致被害者分科会責任者の姜成男(カン・ソンナム)氏らから拉致被害者と行方不明者の調査現状を重点的に聞いた。調査委側からの説明について、伊原氏は「詳細は帰国して首相に報告したい」と述べるにとどめた。
協議冒頭、徐氏は「皆さんの訪朝に関し、日本で食い違った主張がいわれている」と前置きしながらも、代表団訪朝を「朝日合意を履行しようとする日本政府の意思の表れとしてよい選択だった」と評価した。