また、日中の対立が米中関係にも影響を与え、中国の外交環境は悪化。日本企業の対中投資も減少するなど、国内経済にも深刻な影響が現れ始めた。こうした中で行われた今回の首脳会談では、習氏が自らの求心力を維持するため、「決して日本に妥協したわけではない」とアピールする必要があったようだ。
首脳同士がようやく顔を合わせたとはいえ、日中関係が本格的に改善する可能性はそう高くはない。先の大戦終結から70年となる来年、中国国内ではさまざまな記念イベントが控えており、日中戦争をテーマとしたテレビドラマや映画も多く作成されている。
「中国の夢の実現」という民族主義色の濃いスローガンを掲げる習政権は今後も、メディアなどを利用して対日批判を展開し、軍事面でも海や空などで拡張を目指す方針は変わらないとみられる。両国国民の互いに対する感情も含め、関係改善への道筋は決して平坦(へいたん)ではない。(北京 矢板明夫/SANKEI EXPRESS)