中国側は首脳会談開催の前提条件として、尖閣諸島の領有権をめぐる係争が日中間に存在することと、安倍首相が靖国神社を参拝しないことの2点を求めていた。首脳会談に前提条件をつけるというのは、外交的に非礼である。同時に中国が、習主席の外交交渉能力に不安を持っているからこのような前提条件をつけたのだ。
しかも、事務方が政治的に極めて重要な意味を持つ「4項目の一致点」という外交文書を作成し、それを首脳会談で追認するだけならば、首脳会談は単なる儀式ということになる。外交の慣例に照らし合わせても奇妙な首脳会談だ。<日本側は「会談に前提条件はつけない」との立場で、2点については「譲歩」は受け入れられないとの姿勢は堅持しつつ、中国側と折り合える文言を調整した。
歴史問題に一言も触れず
文書では、中国側が領有権の存在にこだわってきた「尖閣」を明記し、両国間に「異なる見解」があるとする一方、歴史について靖国参拝には一言も触れなかった。日本外務省幹部は「異なる見解」について、「『緊張状態が生じている』にかかっている」とし、尖閣の領有権をめぐるものではないと説明。「日本の立場が後退したとか損なわれたとかは一切ない」と強調した>(11月10日「朝日新聞デジタル」)ということであるが、この朝日新聞の記事の内容は説得力がない。匿名の外務官僚によるプロパガンダ(宣伝)をそのまま報じているだけだ。