そうした中、日航は国際線と国内線で現在の主力機種であるボーイングの大型機「777」の後継機種として、A350を最大56機購入すると決定。ボーイングへの依存度が特に高かった日航から初めて発注を受けたエアバスにとって「日本市場での突破口」(ファブリス・ブレジエ最高経営責任者)を開いた形だ。
だが、ボーイングも巻き返した。全日本空輸を傘下に持つANAホールディングスが今年3月にボーイングとエアバスから最新鋭機を計70機“まとめ買い”したときに、高価格の中・大型機は全てボーイングが受注して牙城を守った。
これらの商談では、エアバスとボーイングが値引きなどをちらつかせ、受注合戦を展開したとされる。
またエアバスは、今年8月にボーイングの777に決まった政府専用機の後継機種をめぐっても、当初は自社機材の提案を検討したことがあり、昨年の日航からの大量受注の余勢を駆って日本市場での存在感向上に余念がない。両社の攻防は激しさを増しそうだ。(森田晶宏/SANKEI EXPRESS)