海外ブランドの担当者が発注にくるほど、西陣絣の技術や素材が持っている可能性は大きい。つまりニーズと発想が技術と素材と結びつくことで可能性が開けるのである。しかし、日本国内はもとより、海外にも西陣絣はその存在が知られていない。これが分業制の一つのデメリット部分でもある。工程の中で素晴らしい素材と技術が隠れてしまっているのである。
10月に米北西部ポートランドを訪ね、現地のファッションブランドに西陣絣のサンプルを見せたところ、非常に興味を持ってくれた。彼らのニーズに合わせた西陣絣の製作を水上さんの工房で始めたところだ。技術と素材、そして現代の感性のグローバルな結びつきという新たな分業制の構築が求められているのだと実感している。(「COS KYOTO」代表 北林功(いさお)/SANKEI EXPRESS)
■きたばやし・いさお 1979年、奈良県生まれ。現代に受け継がれる多様な素材や技術、人を「京都」の感性で融合し、発信する「COS KYOTO」代表/コーディネーター。「TEDxKyoto」ディレクター。西陣絣の技術で織られた生地や商品はCOS KYOTOショールーム(京都市北区紫野上柏野町10の1)で展示予定。HP:cos-kyoto.com