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【取材最前線】80代の名優にしびれる (1/2ページ)

2014.11.22 12:40

 11月に80歳を超えた俳優の舞台が2本あり、演劇担当記者の立場を忘れ、一演劇ファンに戻って満喫した。しかも一人芝居と二人芝居。2時間近くもしゃべりっぱなしの新作、といえばそのすごさが分かるだろう。

 1本目は仲代(なかだい)達矢さん(81)の一人芝居「バリモア」(丹野郁弓(たんの・いくみ)訳・演出)だ。映画「グランドホテル」(1932年)などで知られる米名優、ジョン・バリモアの晩年を描いたウィリアム・ルースの作品。物語は、バリモアが死の1カ月前、ニューヨークの劇場でリハーサルに臨むところから始まる。あふれ出るのは、俳優全盛期に主演した「リチャード3世」や「ハムレット」のせりふ。没落したアル中のシェークスピア役者が再起をかける。

 「僕も『リチャード3世』や『ハムレット』などを演じた。演じていて(自分が)バリモアなのか、仲代なのか、役なのか、分からなくなる」

 仲代さんが15年間、温め続けていた舞台。事前取材で「62年役者をやってきて、一番難しい。最後の冒険」と初の一人芝居を語っていた。

 せりふを筆書きして壁中にはり付け、記憶力の低下と必死に闘っていた。「若いころの20倍、30倍も苦労する」とため息をつきながら、好きな戯曲に全身全霊で取り組む緊張感と充実感がみなぎっていた。

「ウェルメードな芝居なんですよ」

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