バラク・オバマ米大統領を取り囲むようにガードするシークレットサービスの要員たち。9月のホワイトハウス侵入事件では、信じられないような失態を重ねていた=2014年10月20日、米イリノイ州シカゴ(ロイター)【拡大】
内部調査の報告書によると、確かに不運はあった。
ゴンザレス容疑者がよじ登ったフェンスはたまたま侵入者を防ぐための“忍び返し”がなく、大勢の隊員がいたペンシルベニア通りに面したゲートからは工事現場が遮蔽物となって容疑者を視界に収めることが困難だった。
私用電話・追跡放棄…
ただ周辺の道路を巡回していた別のチームがフェンスを登るゴンザレス容疑者を発見。しかし、武装していないと考えたため、制止を呼びかけただけで発砲しなかった。「北庭」への侵入を許した後も、2人の隊員はゴンザレス容疑者が敷地内の茂みを突破できないと考え、途中で追跡をやめていた。北庭には警備犬を連れた隊員が1人常駐していたが、私的な電話の最中で、耳につけているはずの無線用イヤホンを外していた。
こうなると、警護システム上の問題を通り越して、もはや「人災」。ホワイトハウスの正面玄関の外側付近で容疑者と遭遇した隊員は、玄関の扉は施錠されていると予測して犯人を追わなかったが、実際には鍵はかけられていなかった。玄関からホワイトハウス内部に侵入したゴンザレス容疑者を見ても、複数の隊員が建物内部のレイアウトをよく知らなかったため、追うのを諦めていた。